伍流の思考

- ごりゅうのしこう -

マクドナルドへの逆風2

つづきです。

前半ではマクドナルドの低迷は『ネガティブキャンペーンにある』というのと『巨大フランチャイズの経営はそんな単純じゃないのよ』って話をしました。ここからはネガキャンについて少し掘り下げてみます。その後で『改革の圧力と難しさ』について話をしたいと思います。

◆ネガティブキャンペーンについて

今は『異物混入』あるいは『食中毒』について以前より敏感な時代だと思います。昔なら『こんなの入っていた・・・放置 or クレーム』で終わっていたものが、今はそれに『ネットにアップ(そして拡散)』が加わっています。

ネットにアップする人が例え100人に1人だったとしても、大量に商品を出している企業はそれだけより大きなリスクを背負っているワケです。危機管理を間違えると会社の存続を揺るがしかねない事態になったりします。

なので『何もそこまでしなくても・・・』って思うくらいに過敏になりがちです。


さて以前の経営者:原田泳幸さんについて少し話しておきたいと思います。業績不信のマクドナルドを過去最高益に導いたカリスマ経営者です。それだけの業績があればTV出演や講演の依頼も増えます。

ある日、経済番組をみていると原田さんが出演していました。マクドナルドの経営手法について語っていました。例えば『消費税の時に値上げをすると注目を集めやすい』のでその前から少しずつ値上げを実施している。といったことを話していました。

実はこれは経営手法として合理的だと思います。個人的には『なるほど』と思いましたが、それと同時に違和感もありました。こういうのは書籍やセミナーで語るのに向いている。ある種の裏話であって、表でする話には少し不向きだと思ったからです。これをみた一般視聴者はどう感じるのでしょうか?

『マクドナルドが消費者をバカにしている!(原田調子に乗っている)』

・・・・そう思った人もいると思います。

さらに少しずつ値上げをして『マクドナルド最高益更新!』なんてニュースが踊るようになると『そういえば最近のマックはけっこう高いよね!儲け過ぎじゃねー!?』といった話になりがち。

ユニクロのフリースブームじゃないでですが、ブームがあれば『ユニバレ』のような『揺り戻し』が来ます。マクドナルドを打ち出してくる施策で『カウンターのメニューをなくす』といった合理化に対してその他の要素がなければ『面倒くさいなぁー』程度で終わっていた消費者も、それらの積み重ねで『(ネットで)文句の一言でもいいたい!』ってなりやすい土壌ができあがってきたように思います。


原田さんは優秀な経営者だと思います。またマクドナルドのような上場企業やアメリカに本部があるような会社だと『儲けることへの圧力』と『儲けたことへの賞賛』はそれなりに大きかったろうと思います。

ただ『消費者への好感度』っていう意味ではミスをして足元を救われたと僕は感じています。


さて最後です。

◆改革の圧力と難しさについて

周囲から『経営を立て直せ!』という圧力は相当なものだと思います。僕はカサノバ社長が無能だとは思いません。あれだけあったネガティブキャンペーンの後なら、何もしなくても業績は落ちます。いわゆる下降トレンドみたいな状態です。

ただ現状の分析と対応策については僕と見解が違ったようです。

僕は正直なところ『経営改革は不可能!』だと感じています。
とくに組織をいじればいじるほど注目され『効果なし→迷走』というレッテルを貼られてしまいます。なので嵐が過ぎ去るのを静かに待つべきだと思います。儲かった時代の店舗を減らし、もともとの支持顧客にそこそこの味のバーガーをそこそこの値段で提供し続けましょう。

間違っても『高級路線に行こう!』なんてやめましょう。マクドからモスに移行していく人はほおっておきましょう。学生が社会人になったらお金に余裕ができ高級志向になるのは自然ですから。そうではなく今の学生が『マックで食べてこうぜ!』って言って来てくれればいいと思います。

『高級路線で行くべきだ!』ってことは、今から新しいブランドを作ろう!ってことなので、別会社で少し試すくらいがちょうどいいと思います。

ドーナッツチェーンがコンビニのドーナッツ販売に打撃を受けたり、吉野家で酒が飲めるようになって居酒屋が影響を受けたり、そういったことは今後も続きます。ただマックのような業態の需要は今後もそこそこ残っていくでしょう。そして嵐が過ぎ去ったら少しは客も戻ってくると思います。


まぁ僕がいまのマクドナルドの経営に関して案をあえて言うなら『好感度の高い人を社長にする』そして少しコストをかけてでも『喜ばれることをする(好感度アップ)』といった感じでしょうか。原因がネガティブキャンペーンだと考えているもので。

具体的に言えば『店のWi-Fiを無料で使えるようにしよう』です。それだけでビジネスマンや学生が待ち合わせに使いやすくなる。ただし繁忙時間に長居されても困るので、1時間とか時間制限をつけるのはアリだと思います。


・・・僕はこんな風に考えたのですが、みなさんはどう感じましたか?