伍流の思考

- ごりゅうのしこう -

貧困系のNPOの共感できないところ。

僕はどちらかというと『格差拡大を抑制すべき』だと考えている。所得税も相続税も今より累進性がキツくてもいいと思っているし、できることなら資産税のようなものがあればいいとも思っている。

現実的にどの程度のことならお金持ちの海外逃避を抑えつつ実現できるのかは分からないが、それらで財源が増えたら貧困対策や教育への投資などに使っていくべきだと考えている。


さて日本にも経済格差を問題視して活動しているNPOが数多く存在してる。ある団体は最低賃金上昇を目指しデモをしているかもしれないし、別の団体はカンパを募ったり補助金などを財源として貧しい人達に食事提供などをしている。

 

それ自体は善意によるものだろうとも思うし、活動自体は尊いものだと思っている。ただし『貧乏人を救うべき弱者』としてしか捉えていない節がチラホラ見えてきて、そこがイマイチ共感できない。



◆共感できない理由1:どこまで実態を伝えているのか分からない。

 
NPO団体の記事はこんな感じ。『シングルマザー(仮にA子さん)の切情を紹介する。その人がいかに節約をしてたくさん働き、それでも生活が苦しいかを伝え・・・・支援を訴える』・・・僕はそれを見て共感する人も支援する人もいるとは思う。でも、それだけを見て、その人が『健気に努力しているが生活している弱者』だとは判断しかねる。


例えばここに実家ぐらしでギャンブル好きで借金があり酒やタバコなど浪費も激しい若者(仮にB君)がいたとして、所得が低いということで『貧困の支援でお金などをくれる団体』が実情を調査しにきたとしよう。

『A君はどこまで本当の事を言うだろうか?』

(公的機関で捜査権限があれば違うかもしれないが) ギャンブルは内緒に。酒やタバコは過小深刻し、ブラック企業に勤めていたとか、会社をクビになったとか、自分に都合の良いことを言ったりしないだろうか。僕は動機としては十分にありえると思う。

現場に関わっているほどに貧困状態にある人の中に『その人が原因を作っている(自業自得的な)』ケースはチラホラ見えてくるはずだ。約束の時間に来なかったりとか誠実さに欠けるとか、そういった人をみて『クビになったのは会社のせい』だと思えないこともあるだろう。

でも財源を寄付などに頼るNPO団体は、そういう実態は極力みえないようにする。同じ貧乏人でも『ろくでなしの弱者』を支援したいという人は少ないからだ。できれば支援を受ける対象のイメージは『運悪く貧困状態に陥り本人は出来る限りの努力をしているが抜け出せない健気な人』であって欲しいと思うのが自然だ。

途上国のストリートチルドレンの支援にしても、ポスターで使われるのはカワイイ女ん子だったりする。決して旅行者を集団で囲って強盗をする歯の抜けたブサイクではない。僕はイメージ戦略自体はあるていどは仕方がないと思っている。またそれ自体は戦略上有効なのですべきだとすら思っている。


ただし、そればかりが前面にでて、ネガティブな所がまったく見られないと僕の中でリアリティーがグッと下がってしまう。逆に貧困支援でも一筋縄でいかないことを示しつつもがいている部分を見せる団体の方が僕は共感できる。

 

◆共感できない理由2:公助に偏っている気がする。

さきほど出したA子さん。本人は頑張っているのかもしれない。でもその努力の方向性は合っているのだろうか。子供が小学生で母親がガッツリ働いていて支援が必要なほど日本の賃金は低くないのでは??と思っている。もちろん高校に行くとか大学に行くとかになれば授業料などかかるので理解できるのだが、小学生の段階では授業料もかからないし、食費もそんなにかからないはず。

僕はもともと家計のやりくりが苦手なことが原因として大きいように思えてならないA子さんについては断言はしないが、一般的には『貯金が全然たまらないタイプ』というのはそこそこいる。本人は節約しているつもりなのだが貯金できるタイプの人から見れば『何でそれ買うかなぁ・・・』って点がいろいろある感じ。

僕はそのNPOの記事を見て『節約のアドバイス』とか自助努力をサポートする方向って重要なんじゃないかなって感じた。

僕は貧困を国が救うこと自体には賛成している。

ただし『自助・共助・公助』という3つのバランスが大事だとも思っている。日本は世間的な常識にしばられて、貧乏にもかかわらず昔の貧乏人から見れば贅沢すぎるような生活をして『国が悪い。世間が悪い。助けてくれ!』というタイプがまぁまぁ多いように思う。

僕が住んでいるのが途上国で、たまにレストランで食事してますが貧困ですって日本の相対的貧困ではなく、もっと過酷な絶対的な貧困を見てきているだけに一般人より見る目が厳しい(すぎる??)のかもしれないが、ここでは子供を田舎の実家に預け親は首都や海外に出稼ぎってケースはざらにある。

そして途上国でセーフティーネットになっているのは『ファミリーのつながり』が大きいと思う。日本で困窮している人達の中には家族と不仲だったり、職場や友達との関係が上手くいっていない人もいると思う。

実のところ貧困を抜ける為の1つの要素(というか方法)がコミュニケーション能力だと思う。実家の両親に子育てを手伝ってもらうとか、困窮しているシングルマザーがいたら同じような境遇のシングルマザーと共同生活するとか、簡単だとは思わないが出来れば大きな力になるだろうと思う。

でも、そういったことを実践しようとする人はけっこう少ないと思う。プライバシーのある個室になれた現代人にとって他人と暮らすことはストレス要因だろうとも思う。が、結局のところ貧困をぬけ出すことや、金持ちになることって、どれだけ割り切って利を取るかってことだと僕は思ったりする。

その覚悟と行動がなく、自助努力なく公助を頼るようになると、そのマインドも子供に受け継がれていくと思う。国に頼るなって言っているんじゃなくて、自助努力も大切でけっこうやれることはある。それを探すべきだという話。


◆最後に

厳しいことも言ったがNPO団体などで活動している人達と基本的には応援している。理想と現実のギャップに悩むのは行動している人の勲章でもある。できれば苦悩も『自己満足になってやしないか』とかはたまに考えていってもらいたいと思う。まぁある程度は自己満足もありだと思うが。